2014年03月04日
アドレナリン全開!
はいさい。フライトドクター ヨシバードです。
また低気圧が本土を襲っているようですが、皆さんいかがお過ごしですか?
2月は比較的要請が少なかった月でしたが、久しぶりに「これぞ、ドクヘリ!」というミッションを経験しました。どんよりと曇り、雨も時々ぱらつく日にその要請はありました。午前、午後と一件ずつ離島からの要請があり、業務終了直前にそのコールがありました。
「耕運機事故!救出中!」
運行管理士が叫び、パイロットと整備が急いでヘリに駆け寄ります。あと5分遅れていればヘリは格納庫に収納していたため、ギリギリのタイミングでした。
ドクヘリは3分後には離陸。空路、無線で救急隊から情報が入ります。
「現在接触したばかり。○台の△性、耕運機がまだ挟まれており、下腿と腹部に刃が食い込んでいる模様。意識はあり。これから救出に入る」
ドクヘリは5分足らずで指定のランデブーポイントに降り立ちました。最悪の事態を想定し、開胸器、モニター一式、トーマスバックを持って、既にピックアップ車に乗り込みました。途中、無線にて救出に時間がかかるような情報が飛び込んでいましたが、地理的に救出後の搬送はヘリに載せ替えるより、救急車で直接救命センターへの搬送が時間的にも患者の容態的にも最適と判断し、近隣の救命センターを搬送先に決定し、クルーに指示を出しました。
患者は数時間前に耕運機に身を挟まれ動けなくなっていたところ、たまたま見にきた友人によって発見されたようです。救急隊長に状況確認と、現在レスキュー状況、救出にかかる時間をきいたあと、隙間から患者の簡単な診察を行い点滴をとりました。時間がたっていることを考えると大量出血は現時点でおきているとは考えにくいですが、耕運機を除去し救出したとたんに血が溢れ出す可能性は十分にあります。また、刃がどこにささっているかもみえないので、肺や腎臓などの損傷についても心配でしたし、体が機械と壁の間に挟まれている状況からクラッシュ症候群の可能性も頭をよぎりました。再び開いてる隙間から服をきり、やっとの思いでパドルパッドを貼りました。
心電図は今のところ問題なし、不整脈もありません。機械を動かすたびに悲痛な声が聞こえてくるので、鎮静薬も投与しました。
30分(感覚的には1時間ですが)ぐらいたったころでしょうか。ようやく刃が本体からはずれ、圧迫が解除されました。橈骨動脈の触れはかわりません。素早く、服を切り診察を行いました。3本刃が食い込んで大きな傷がありましたが、幸いどれも筋膜と肋骨のすれすれのところでとどまっていました。あと数cm刃が大きかったなら...と思うとゾッとします。
刃の処理をし、圧迫止血と簡単な初期評価のあと、低体温に陥る可能性が高かったため患者を救急車へと移し、加温を開始しながら救命センターに搬送しました。
その後ヘリへと戻り、日没する太陽をみながらヘリ基地に帰還しました。
今後は感染症との闘いとリハビリを乗り越えていかなくてはいけませんが、元気に社会復帰したほしいと思います。
また低気圧が本土を襲っているようですが、皆さんいかがお過ごしですか?
2月は比較的要請が少なかった月でしたが、久しぶりに「これぞ、ドクヘリ!」というミッションを経験しました。どんよりと曇り、雨も時々ぱらつく日にその要請はありました。午前、午後と一件ずつ離島からの要請があり、業務終了直前にそのコールがありました。
「耕運機事故!救出中!」
運行管理士が叫び、パイロットと整備が急いでヘリに駆け寄ります。あと5分遅れていればヘリは格納庫に収納していたため、ギリギリのタイミングでした。
ドクヘリは3分後には離陸。空路、無線で救急隊から情報が入ります。
「現在接触したばかり。○台の△性、耕運機がまだ挟まれており、下腿と腹部に刃が食い込んでいる模様。意識はあり。これから救出に入る」
ドクヘリは5分足らずで指定のランデブーポイントに降り立ちました。最悪の事態を想定し、開胸器、モニター一式、トーマスバックを持って、既にピックアップ車に乗り込みました。途中、無線にて救出に時間がかかるような情報が飛び込んでいましたが、地理的に救出後の搬送はヘリに載せ替えるより、救急車で直接救命センターへの搬送が時間的にも患者の容態的にも最適と判断し、近隣の救命センターを搬送先に決定し、クルーに指示を出しました。
患者は数時間前に耕運機に身を挟まれ動けなくなっていたところ、たまたま見にきた友人によって発見されたようです。救急隊長に状況確認と、現在レスキュー状況、救出にかかる時間をきいたあと、隙間から患者の簡単な診察を行い点滴をとりました。時間がたっていることを考えると大量出血は現時点でおきているとは考えにくいですが、耕運機を除去し救出したとたんに血が溢れ出す可能性は十分にあります。また、刃がどこにささっているかもみえないので、肺や腎臓などの損傷についても心配でしたし、体が機械と壁の間に挟まれている状況からクラッシュ症候群の可能性も頭をよぎりました。再び開いてる隙間から服をきり、やっとの思いでパドルパッドを貼りました。
心電図は今のところ問題なし、不整脈もありません。機械を動かすたびに悲痛な声が聞こえてくるので、鎮静薬も投与しました。
30分(感覚的には1時間ですが)ぐらいたったころでしょうか。ようやく刃が本体からはずれ、圧迫が解除されました。橈骨動脈の触れはかわりません。素早く、服を切り診察を行いました。3本刃が食い込んで大きな傷がありましたが、幸いどれも筋膜と肋骨のすれすれのところでとどまっていました。あと数cm刃が大きかったなら...と思うとゾッとします。
刃の処理をし、圧迫止血と簡単な初期評価のあと、低体温に陥る可能性が高かったため患者を救急車へと移し、加温を開始しながら救命センターに搬送しました。
その後ヘリへと戻り、日没する太陽をみながらヘリ基地に帰還しました。
今後は感染症との闘いとリハビリを乗り越えていかなくてはいけませんが、元気に社会復帰したほしいと思います。
Posted by ドクターヘリオキナワ1 at 21:21│Comments(0)