2012年09月14日
少し小説チックに・・・
はいさい。フライトドクター ヨシバードです。
救急の日レポートー後編です。文才がないけど、ちょっと小説風に。最後までお付き合いください。
珍しい護衛艦への着艦動画もありますよ!
~~~~
結局、予定滞在時間よりも1時間早くイベント展示を切り上げ、北部の事故現場に向かいました。
和みのイベントモードから、戦闘(!?)モードに切り替えます。沢山の人達が見送る中、離陸したのも気づかないほど・・・フライトナースのチーバーに点滴の準備をお願いし、自分は機長に消防指令からどのような事案で要請が入っているか確認しました。
「バイクでの交通外傷。その他、詳細不明。」
ドクターヘリはそのころには嘉手納基地の進入路を抜け、東海岸から西海岸に抜ける陸の上を飛んでいました。
「機長、携帯使用します!」
消防に連絡をとりましたがつながりません。電波の届かない位置にいるのでしょうか。あるいは、現場で活動していて気づかないのかもしれません。
下をみたら、ドクターヘリはもう名護湾の上空。無線に多くのボイスが飛び込んできます。でも、向かっている消防のものではないようです。下をみると、海上には大きな護衛艦とその周辺に海上保安庁の船が見えました。そして、陸では消防車や自衛隊の車両、警察車両などなど。午後に参加予定の沖縄県総合防災訓練が既にはじまっていたのです。

その後も結局、携帯は繋がらず、無線でも患者情報については入ってはきませんでしたが、着陸現場から先に救急車に乗って現場に向かうことも想定し、チーバーと綿密に打ち合わせをしました。
イオン離陸からおよそ15分後、ヘリは指定されたランデブーポイント上空にいましたが、救急車が見当たりません。と、少し離れた北のほうから白い影が南下してくるのがみえました。
「こちらドクターヘリオキナワ1、現場上空到着。地上の準備が整うまで、上空で待機する。」 機長が無線を交信をし、旋回し待機します。
その間、待ち時間2分ぐらいでしょうか。長く感じました。重症外傷であれば、この2分が命取りになることもあります。患者の容態が安定していることを祈りつつ待ちました。
「こちら◯◯消防、地上の準備完了!」
ヘリは一気にポイントへ降下し着陸しました。救急車に走ります。側面のドアからは僕が、後部からはチーバーが乗り込みました。
*写真は別件ですが、外傷対応での写真です。Yドクターと、Nナース

「わかりますか?お名前を教えてください。」
まずは、意識レベルの確認。どうやら名前はわかるみたい。声もでるようです。手もついでに触ります。温かい!!顔色も悪くない!
(ホッ!)
大丈夫、最悪の事態ではない!!現場では、自分の5感だけが頼り。最先端の診断機械もレントゲンもありません。手元にあるツールは、エコー、聴診器、ペンライトぐらい。胸と腹をみて、触って、押して、音を聞いて、骨が折れていないか、肺が破れていないか、出血をしていないか順序良く診察をしていきます。そして、簡易エコーで心臓、胸、お腹を覗いて出血の有無もチェック!
頭はちょっと出血しているけど、意識は大丈夫。足も変形がありましたが、救急隊が既に適切にシーネ固定をしてくれていました。ひと通りの診察が終わった時、チーバーは既に点滴の確保を終え、もう一人のより軽症の患者の対応をしていました。頼りになるバディーです。
「両方とも△△病院に搬送します。軽症のほうは家族席で。引き継ぎ医師の迎えをお願いします」
「すでに連絡済です。受け入れOKの返事をもらっています。」
「了解!じゃ、現場離脱の準備に入りましょう」

5分後、ドクターヘリは傷病者を二人のせ50km以上も離れた救命センターに向かってティクオフしました。
機内でも急激な病状の悪化はなく、今後は搬送先の病院でさらなる全身精査、骨折の手術を受けることになります。
今回は事無きを得ましたが、消防司令の適切な要請で遅滞なく医療処置を施すことができました。
一日でも早く回復し、元気に退院できることを祈っています。
その後、ヘリ基地に戻ったら瞬間、次の要請が鳴りました。海水浴中の子供の溺水です。急いで給油を済ませ、次の現場に飛び立ちました。こちらも、呼吸が少し浅く早かったですが、ヘリだと搬送時間が大幅に短縮されるため人工呼吸器の管をいれることなく治療を行うことができました。
引き継いだあと、フライトスーツはビショビショでスポーツドリンクが美味しく感じられました。
たまたま近くを通りすがった人が見学にきてくれました!

その後、大地震からの津波被害を想定した大規模防災訓練へ参加するため、引き継ぎポイントから直接名護湾沖へ。
訓練会場では既に県の災害医療班や消防、警察が活動をしており、我々は重症患者を受け取り、ドクターヘリで海上に派遣された護衛艦(中で医療処置ができる!!)に搬送する任務を担いました。



護衛艦 『ひゅうが』に着艦!!
朝から動きっぱなしで、焼けて汗もぐっしょりかきましたが、気持ちのいい疲労感でした。
「フライトドクターとして働けて幸せだな~!」
そう噛み締めた瞬間でした!

下手な文章に付き合っていただいた皆様ありがとうございました!
救急の日レポートー後編です。文才がないけど、ちょっと小説風に。最後までお付き合いください。
珍しい護衛艦への着艦動画もありますよ!
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結局、予定滞在時間よりも1時間早くイベント展示を切り上げ、北部の事故現場に向かいました。
和みのイベントモードから、戦闘(!?)モードに切り替えます。沢山の人達が見送る中、離陸したのも気づかないほど・・・フライトナースのチーバーに点滴の準備をお願いし、自分は機長に消防指令からどのような事案で要請が入っているか確認しました。
「バイクでの交通外傷。その他、詳細不明。」
ドクターヘリはそのころには嘉手納基地の進入路を抜け、東海岸から西海岸に抜ける陸の上を飛んでいました。
「機長、携帯使用します!」
消防に連絡をとりましたがつながりません。電波の届かない位置にいるのでしょうか。あるいは、現場で活動していて気づかないのかもしれません。
下をみたら、ドクターヘリはもう名護湾の上空。無線に多くのボイスが飛び込んできます。でも、向かっている消防のものではないようです。下をみると、海上には大きな護衛艦とその周辺に海上保安庁の船が見えました。そして、陸では消防車や自衛隊の車両、警察車両などなど。午後に参加予定の沖縄県総合防災訓練が既にはじまっていたのです。

その後も結局、携帯は繋がらず、無線でも患者情報については入ってはきませんでしたが、着陸現場から先に救急車に乗って現場に向かうことも想定し、チーバーと綿密に打ち合わせをしました。
イオン離陸からおよそ15分後、ヘリは指定されたランデブーポイント上空にいましたが、救急車が見当たりません。と、少し離れた北のほうから白い影が南下してくるのがみえました。
「こちらドクターヘリオキナワ1、現場上空到着。地上の準備が整うまで、上空で待機する。」 機長が無線を交信をし、旋回し待機します。
その間、待ち時間2分ぐらいでしょうか。長く感じました。重症外傷であれば、この2分が命取りになることもあります。患者の容態が安定していることを祈りつつ待ちました。
「こちら◯◯消防、地上の準備完了!」
ヘリは一気にポイントへ降下し着陸しました。救急車に走ります。側面のドアからは僕が、後部からはチーバーが乗り込みました。
*写真は別件ですが、外傷対応での写真です。Yドクターと、Nナース

「わかりますか?お名前を教えてください。」
まずは、意識レベルの確認。どうやら名前はわかるみたい。声もでるようです。手もついでに触ります。温かい!!顔色も悪くない!
(ホッ!)
大丈夫、最悪の事態ではない!!現場では、自分の5感だけが頼り。最先端の診断機械もレントゲンもありません。手元にあるツールは、エコー、聴診器、ペンライトぐらい。胸と腹をみて、触って、押して、音を聞いて、骨が折れていないか、肺が破れていないか、出血をしていないか順序良く診察をしていきます。そして、簡易エコーで心臓、胸、お腹を覗いて出血の有無もチェック!
頭はちょっと出血しているけど、意識は大丈夫。足も変形がありましたが、救急隊が既に適切にシーネ固定をしてくれていました。ひと通りの診察が終わった時、チーバーは既に点滴の確保を終え、もう一人のより軽症の患者の対応をしていました。頼りになるバディーです。
「両方とも△△病院に搬送します。軽症のほうは家族席で。引き継ぎ医師の迎えをお願いします」
「すでに連絡済です。受け入れOKの返事をもらっています。」
「了解!じゃ、現場離脱の準備に入りましょう」

5分後、ドクターヘリは傷病者を二人のせ50km以上も離れた救命センターに向かってティクオフしました。
機内でも急激な病状の悪化はなく、今後は搬送先の病院でさらなる全身精査、骨折の手術を受けることになります。
今回は事無きを得ましたが、消防司令の適切な要請で遅滞なく医療処置を施すことができました。
一日でも早く回復し、元気に退院できることを祈っています。
その後、ヘリ基地に戻ったら瞬間、次の要請が鳴りました。海水浴中の子供の溺水です。急いで給油を済ませ、次の現場に飛び立ちました。こちらも、呼吸が少し浅く早かったですが、ヘリだと搬送時間が大幅に短縮されるため人工呼吸器の管をいれることなく治療を行うことができました。
引き継いだあと、フライトスーツはビショビショでスポーツドリンクが美味しく感じられました。
たまたま近くを通りすがった人が見学にきてくれました!

その後、大地震からの津波被害を想定した大規模防災訓練へ参加するため、引き継ぎポイントから直接名護湾沖へ。
訓練会場では既に県の災害医療班や消防、警察が活動をしており、我々は重症患者を受け取り、ドクターヘリで海上に派遣された護衛艦(中で医療処置ができる!!)に搬送する任務を担いました。



護衛艦 『ひゅうが』に着艦!!
朝から動きっぱなしで、焼けて汗もぐっしょりかきましたが、気持ちのいい疲労感でした。
「フライトドクターとして働けて幸せだな~!」
そう噛み締めた瞬間でした!

下手な文章に付き合っていただいた皆様ありがとうございました!
Posted by ドクターヘリオキナワ1 at 23:44│Comments(2)
この記事へのコメント
はじめまして、パイロット矢埜氏の以前の職場で働いてます小田と申します。私は救命士と准看護師の資格を持ってて、勉強の為にブログを読まさせていただいております。さて、今回の記事を拝見しました。記事の中に上空から地上の救急車がわかりづらいとありましたが、サバイバル用のミラー(細部は矢埜氏に聞いて下さい。)を地上の救急隊員が使うとかなり遠くからも視認でき非常に有効ですよ。お試しください。
Posted by 小田 功 at 2012年09月23日 23:56
小田さん
それは、地上から鏡で光りを反射させて知らせるものでしょうか
矢埜に聞いてみます。
ありがとうございました。
ひ~じゃ~こと八木正晴
それは、地上から鏡で光りを反射させて知らせるものでしょうか
矢埜に聞いてみます。
ありがとうございました。
ひ~じゃ~こと八木正晴
Posted by ドクターヘリオキナワ1
at 2012年10月07日 00:03
