2010年07月02日

波濤を越えて

沖縄県ドクターヘリは機体の航続距離から半径100km圏内を出動の目安としています。そのため本島から300km以上の長距離になる大東・宮古・八重山地方はカバーできませんし、夜間はドクターヘリは飛ぶことができません。これらの場合は陸上自衛隊の災害派遣による急患空輸が実施されています。ドクターヘリが登場する以前は離島救急の唯一の命綱でした。

沖縄が日本復帰した1972年から2010年5月末までに7787回出動し8142人の急患を搬送していて、これは世界中のレスキュー部隊でもっとも多く出動していることになるそうです。
24時間いつでも出動態勢を維持してくれていることは離島の医療にとって大きな支えです。
ほんとうに頭が下がります。
その中で平成2年、19年にそれぞれ急患空輸中の墜落事故がおき、7名の自衛官と1名の医師が亡くなっています。多くの人に支えられてきた、忘れてはならない沖縄救急医療の歴史です。
波濤を越えて

当然、離島から搬送される患者さんは入院が必要で、重症のことが多いため飛行・搬送中の全身管理をする医師・看護師が自衛隊機に乗って迎えにいくことになります。
現在、本島の病院が当番制で付き添い医師と看護師の派遣・および入院受け入れを担当しており、浦添総合病院ももちろん担当病院のひとつです。
波濤を越えて
日中は救命センターの医師とナース、夜間は指導医師と研修医のコンビネーションで出動します。ドクターヘリと違い、医療専用機ではないため医療資機材は充分ではありません。そのため当院では自衛隊出動用バックをつくり、必要な物品・薬剤を持っていけるよう準備しています。
1回病院を出発したら帰ってくるまで6時間(宮古・大東地方)かかる長距離の搬送のうえ、出動途中で休憩を取ることはできませんので自分たちのコンディション管理も身に着けなければいけない技量のひとつです。
ちなみにフライトは義務ではなく希望した医師・ナースのみで出動のローテーションを組んでいますが、さいわい浦添総合病院救命救急センターのスタッフは行きたがりが多いのでシフトを組むのにあまり苦労はしないようです。ドクターヘリ・自衛隊搬送を組み合わせ、沖縄の隅々に救急医療を届けたいと願って、当院のスタッフは今日も沖縄の空を飛んでいます。




Posted by ドクターヘリオキナワ1 at 04:04