手に汗握る搬送

ドクターヘリオキナワ1

2011年12月07日 16:26

はいさい。フライトドクター ヨシバードです。

今日は生暖かい南風がふくいい天気の一日でしたが、昼過ぎに西の島より要請があり基地の雰囲気は一変。

「〇台女性、突然の胸の違和感と意識障害。心電図でII, III, aVFのST上昇と完全房室ブロックがあります。」
「バイタルを教えてください」
「意識は一桁、血圧は60台、脈拍は30前後です」

基地に緊張が走ります。電話を受けながら看護師に冷所管理の抗不整脈薬を搭載するように目くばせをしました。電話の状況から察するに、心筋梗塞が起きて、心臓の脈を出しているところが洞不全を起こして今にも止まりそうな状態。先方で経皮ペーシングをしてもらうようお願い慌ただしくし離陸しました。



往路でいろいろな可能性を考え準備します。血圧がこれ以上あがらなければ、経皮ペーシングがうまくのらなければ着くころには心肺停止の可能性もあります。心筋梗塞を起こしているのであれば致死的な不整脈が搬送中にも起こりえます。意識がこれ以上低下したら挿管、人工呼吸管理も視野にいれなければいけません。麻酔でとどめをさしてしまうことはないだろうか、、、不安がよぎります。最悪のことを想定して、薬剤、モニター、モニターパドルパッドを準備しました。

接触時、前医の適切な処置とペーシングによって幸い脈、血圧は改善、それに伴い意識の回復もみられました。ただ、搬送中でたびたび血圧の低下、胸痛がみられ内科的な治療を行う必要がありました。

今後は循環器チームに引き継がれ、心臓の加療が行われることになります。

一日も早く回復するといいですね!